債務整理5つの方法はメリットとデメリットを比較して選択
債務整理には、5つの方法があります。債務の状況に応じて債務整理の5つの方法を選ばないと借金は減っても、こんな状況になるのでは、債務整理しない方が良かった思うことにもなる可能性があります。
失敗しないためにも、債務整理のそれぞれの方法についてメリットとデメリットを理解することが重要です。専門家に相談に行くと詳細に説明してもらえますが、事前に理解して置くことで主体的な判断ができます。そこで、「過払い金返還請求」「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の5つの方法についてそれぞれのメリット、デメリットについてご紹介します。
失敗しないために知識が必要な理由
弁護士や司法書士がすべてにおいて信頼できる仕事をしてくれるわけではありません。中には、こちらの希望を十分に聞かずに手続きを進めることや、疑問点を質問しても十分に回答してもらえないことがあります。手続きを進めてから、他の方法に変更するとムダな費用が発生することになります。
また、失敗しないためには、専門家に債務に関するすべての情報を隠さずに伝えるとともに、自分の希望をしっかり伝えるようにすることも大切です。
過払い金返還請求のメリット、デメリット
過払い金返還請求とは、法律で決められた制限利息をこえたグレーゾーン利息と呼ばれる高利息の金利分を過去、または現在も返済していた(る)場合、払いすぎた利息(過払い金)を、取り戻すために返還請求をすることです。
メリット
- 払いすぎた利息が返ってくること。
デメリット
- 返済中の過払い金請求の場合、返還請求を行っても債務が残ると、債務整理扱いとなってブラックリストに登録されること。返済中であっても、過払い金で残っている債務を完済できるとブラックリストには登録されません。
- 過払い請求を行った消費者金融会社から新規に借りられなくなること。他の業者からは借入が可能です。
- 過払い金のある借金でないと返還請求できず、他の借金は減額されないこと。
注意点
- 完済済みの場合、完済から10年経過していると請求ができないこと。
- 消費者金融会社が過払い金返還請求の負担で倒産してしまった場合、返還請求ができないこと。ただし、当時と会社名が変わっただけ、あるいは吸収合併されても何らかの形で存続していれば、請求は可能です。
任意整理のメリット、デメリット
任意整理とは、裁判所を通さないで、借金をしている人(債権者)と話し合って、借金の整理(減額など)を行う方法です。
メリット
- 裁判所を通さないで債務整理ができるので、他の人に気づかれにくいこと。
- 厳しい督促があった場合でも督促がストップすること。
- 利息の過払いがあれ返還されること。
- 任意整理をする債務の範囲を自由に設定でき、住宅や車のローンを除外できること。
デメリット
- ブラックリストに登録されて借入が今後約5年から7年間はできないこと。
- 債務の減少額が自己破産、個人再生に比べると大きくないこと。
特定調停のメリット、デメリット
特定調停とは、裁判所を通して任意整理を行う手続きで、特定債務者が行えます。特定債務者とは、借金で経済的に破産するおそれのある者のことです。
メリット
- 費用が安く、1社あたり500円で行え、手続きもそれほど難しくないので素人でもでき、専門家に依頼する費用がなくても利用できること。
- 裁判所が間に入るので、債務者本人が債権者と交渉をする必要がないこと。
- 債権者からの取立てが止まること。
- 利息の過払いがあれば返還されること。たたし、別途交渉する必要性があります。任意整理をする債務の範囲を自由に設定でき、住宅や車のローンを除外できること。
- 借金の内容に関係なく、ギャンブルや浪費が原因の借金の場合でも利用できること。
デメリット
- 裁判所を通じて行う処理のため、裁判所からの連絡や裁判所へ何回も通うことになり、家族や周囲に借金していること、裁判所に相談していることが分かってしまう可能性があること。
- 減額された借金の返済が遅れると差し押さえを受けてしまう可能性があること。
- ブラックリストに登録されて借入が今後約5年から7年間はできないこと。
- 裁判所の目的は借金の返済しやすくするためのものであるため、過払い金の請求までは行われません。過払い金がある場合は、別途、専門家に依頼して過払い請求を行う必要があること。
- 保証人がついている債務を「任意整理すると、保証人がブラックリストに記載されてしまうこと。これを避けたい場合、連帯保証人のいる債務を除いて、「特定調停」を行わねばありません。
個人再生のメリット、デメリット
個人再生とは、任意整理では合意が得られないので、債務整理が難しいけれど自己破産することは避けたい場合に利用される方法です。
メリット
- 債務が原則5分の1に減額されるため、返済が楽になること。
- 任意整理では不可能だった借金の元金部分の減額も、最大で80%も免除されること。
- 住宅や車などの財産を手放さずに手続きできること。・債権者からの取立てが止まること。
- 借金の内容に関係なく、ギャンブルや浪費が原因の借金の場合でも利用できること。
デメリット
- 個人再生とは自己破産のように全ての借金をゼロになるのではなく、借金の元本を大幅に減らし通常、3年をかけて支払う必要があること。
- 所有財産が多いと返済額があまり減らないケースがあること。
- ブラックリストに登録されて借入が今後約5年から7年間はできないこと。
- 個人再生が認められるための条件が厳しいこと。
自己破産のメリット、デメリット
自己破産とは、裁判所で債務(借金)の返済が不能と認められ、かつ債務を返す必要がないという免責が認められれば、税金、ギャンブルで生じた借金などなどを除いた債務をすべて返済しなくてもよくなる方法です。
メリット
- 税金や借金、ギャンブルなどの一部の債務を除きすべて債務の支払いが免除されること。
- 債権者からの取立てが止まること。
デメリット
- ブラックリストに登録されて借入が今後約5年から7年間はできないこと。
- 必要最低限の生活費、財産以外は処分して返済に充てる必要があり残る財産がほとんどゼロになること。自宅がある場合、手放さねばなりません。
- 破産手続きが終了するまでは、原則、裁判所の許可なく引っ越しや長期間の旅行ができないこと。
- 自己破産後7年間は再び自己破産ができないこと。
- 職業や資格の制限を受けること。
- 破産管財人によって郵便物が管理されること。
債務整理のメリットとデメリットのまとめ
債務整理では、どの方法を選択してもデメリットが伴います。メリットとデメリットを比較して、最適な方法を選ぶことが重要です。